先週バタバタと学校のプロジェクトを終えて、日本から両親が来て一緒にミュンヘンに行って帰ってきました。
ミュンヘン(& ニュルンベルク)に行ったのはクリスマスマーケットを見るため。
クラスメイトは「日本からわざわざ見にくるほどのもの?」って笑ってたけど、日本人にとっては十分に異国情緒に溢れる体験だと思う。
新卒2年目くらいの頃、ドイツに日本製のある装置を輸出する仕事をしていて、代理店との交渉のために何度かスイスとの国境にある小さな町まで飛んだ。 何度目かの出張はちょうどクリスマス前で、優しい取引先のドイツ人が気を利かせて近いシュトゥットガルトまでクリスマスマーケットを見せに連れていってくれた。 実物を見るまでそんなものがあることも知らなかったけど、氷点下の中、白い息を吐きながら飲む甘いワイン(ドイツ語ではGlühwein、英語ではMulled wine、我が家のレシピはこちら)、やけに美味しく思えるソーセージ、シンプルな色合いが好みのイルミネーション、木が主体のオーナメント、すれ違う人たちの楽しそうな笑顔、、、クリスマスには宗教的にもイベント的にも特に興味のなかった私は勝手に「クリスマスの原点を見た」と思った。
あれからいくつも数え切れないほどの旅をして、世界中の美味しいものを食べて、何度かヨーロッパでのクリスマスも経験してからの今回の再訪。 こういう美化された過去を再訪する旅ってのは危険だ、、、と自分でもわかっていた。 思い出の中で美化された初恋の人の会うのと似てる。
最初に「感動しなくなった自分」に気づいたのはINSEADにいたときだった。 あの狂った1年では生き急ぐように週末ごとに旅をし、その瞬間その仲間たちといることを楽しんだ。 クレイジーな1年が終わった後、親しい友人たち10人くらいでトルコ沿岸をドライブ旅行してたときだったと思う。 エーゲ海に面した絶壁の上に建てられたレストランで海に落ちる夕日を見ながら食事をしていたとき、「世界一の夕日を見て、世界一の肉を食べて、世界一のxxxもして○○○もして・・・すべてが'been there done that'になるんだろうね」と友人がつぶやいた。
たしかにきれいな夕日なんていっぱい見た、アンコールワットでもウルワツ(バリ)でも見た。 美味しいものもいっぱい食べた、でも思い出そうと思っても思い出せない。
ひとつめの理由は、経験を積めば積むほど自分の中の感情の琴線の感覚が鈍くなっていくということ。
これはある意味仕方のないことかもしれないけど、やっぱり悲しい。 息子は飛行機を見るたびに「こうき!!!」と叫ぶ。 最初に叫んだのは、もう半年以上も前なのに、今でも見るたびに叫ぶ(そして5つも空港があるロンドンでは常時3機くらい空に見える)。
ドイツではクリスマスのイルミネーションの光を見ては"Star!!!"と叫んでいた。 どこもかしこもイルミネーションなので叫びっぱなしである。
見るもの・聞くものすべてが感動の対象である彼を見ていると、私はなおさら感動しなくなった自分が悲しくなる。
もうひとつの理由は、実際に世界の街が似てきたということ。
マクドナルドとスターバックスは世界中にあるが、アメリカのチェーン店があまりないヨーロッパの街でもその国バージョンがあるだけで街の概観は似てきた。 空港なんかその最たるものでどこへ行ってもトラベラーが違いによるストレスを感じないように極力同じようにつくられている(だから空港とホテルとオフィスを3点移動する出張族は空港ラウンジとか機内設備とか激しくどうでもいいものに異常な興味を持つ→『富豪から貧民へ』)。
この現象を嘆くのは自由だけれど、この似てきた街たちは消費者が求めるままに発展したきただけであって、自分もその消費者の一員だとも思う。
デジャヴ感を淡く予測しながら行った今回の旅。 直前に子どもにchest infection(って何でしょう? 細菌性肺炎?)を移されたので、息も絶え絶え、観光どころではありませんでした。
それでもミュンヘンのクリスマスはやっぱりロンドンとは違ったし(→『クリスマスのイルミネーションつれづれ』)、グリューワインとソーセージは相変わらず美味しかった。
クリスマスの原点を見たと思った頃よりちょっと大人になった私は「何を見るか」「何をするか」ではなく「誰とするか」が大事なんだと気づいた。 昔は孤独であることを確かめに行く旅が好きだったのに、いつ頃からか好きな人と分かち合う旅が好きになった。
私はこれからもデジャヴ感にがっかりしたり悲しくなったりしながら、それでも、その場に行かなきゃ感じられない何かを求めて旅することをやめないんだろうなー、と思う、大事な人たちと一緒に。
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on
- December 22, 2011 2:45 PM
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