『中国系 vs 西洋系』に引き続き、Art of Parenting。 イギリス人と日本人の未就学児教育を比較した本、『イギリスのいい子 日本のいい子 - 自己主張とがまんの教育学 』を読みました。 最近たびたびご紹介しているブログ『さまざまなデザイン - ヨーロッパの目、日本の目 - 』の安西さんに、子育てinイギリス代表(?)としてあるブログエントリーの感想を聞かれて以来気になっていたのです(本を読む前の感想はこちらコメント欄)。
長年、文化比較の視点から「西洋文化の独立的な自己」、「日本を含む東洋文化での相互協調的な自己」はそれぞれ対極にあると論じられてきた
ことに対し、自己主張と自己抑制を相反の関係による一元論で捉えるのではなく、
アメリカ=「自己主張が強く自己抑制が弱い」
日本=「自己主張が弱く自己抑制が強い」
イギリス=「自己主張も自己抑制も強い」
と仮定して、日英間の幼児期の教育やしつけを比較した本です。
この本はアメリカで修士、イギリスで博士号を取得した教育学の専門家が著者でフィールドスタディも交えた調査結果が中心となっています(つまりよくある個人及び少数の経験談が中心のヨーロッパ賛美本ではない)。
- ベースが博士論文であるためか調査方法の説明が長すぎ、調査結果の表現の仕方が冗長(もっと見やすいグラフになる)
- 調査時期が古いため(1989 - 90年)、少し内容が時代遅れと思える(特に多文化のロンドンにいるからか、伝統のイギリス式育児法以外にも寛容)
上記2点を除くと、面白い点がたくさんありました(特に私は日本の保育園・幼稚園の様子を全く知らないので、自分が子どもだった頃のことは覚えてないし)。
自分が工作で作った粘度の花瓶を友だちが誤って壊してしまったとき、「こんなとき君だったらどうするかな」とたずねられ、イギリスの子どもの反応:
「なぜこのことについてボクにたずねるの? 質問なら、こっちの壊した方の子どもにたずねれば?」
「さあね、花瓶を壊した子は焦ってるんじゃないの?」
「わたし、おともだちみーんなに言いつけちゃう」
日本の子どもの反応:
「小さい子ならきっと泣くよ」
「ぼくが怒るとおかあさんにしかられる」
「あんまり泣かすと怒られる」
日本の子どもは小さな頃から他者への感情移入能力を発達させてきた(くやしい悲しいという自分の率直な感情を人間関係の調和のために抑制する)のに対し、イギリスの子どもは、トラブル発生時に事実関係を客観的にはっきりさせようとする(自己が原因か他者が原因か)。
なるほどなー、である。 「空気を読む」という礼儀はこんな小さい頃から育まれているのか(それにしても「なんでボクにたずねるの?」という返しはすごい、笑)。
私自身は『"ハーバード流"夫婦円満の術』に書いたように、「人と問題を分離する」、「立場ではなく利害に焦点を合わせる」ことができるようになってから、本当に人生がラクになりました(笑)。 自分や他人の感情と一歩距離を置けるようになったことが大人になって(?)一番よかったことかもしれない。
本書ではたびたび指摘される「日本の電車では妊婦に誰も席を譲らない」、「誰も駅の階段でベビーカーを持ち上げるのを助けてくれない」ことに対する背景説明を試みています(私も以前『子供に優しい国って?』で書きました)。
他の例もとても多すぎて書ききれないのですが、まとめとしては下の表参照(表はこちらより拝借)。 それぞれにつき、実施調査結果が詳しく載っていますので、興味のある方は本書をどうぞ。
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- January 26, 2011 9:43 AM
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