私が住んでいるのはロンドン南西部の"Nappy Valley"(オムツの谷)と呼ばれる小さな子どもがいるヤングファミリーが多い地域です。
イギリスの小説家Will Selfはこの記事で、Nappy Valleyを皮肉たっぷりにこう描いています。
Ah! Nappy Valley, with your branches of Petit Bateau and Pretty Pregnant, with your jolly young French bankers' wives wandering, fully gravid, from one upmarket café to the next: truly, this is the utopia to blot out all those doomy Margaret Atwood/P.D. Jamesian prognostications of mass infertility and social strife. In Nappy Valley everyone is rich and knocked up. This square mile between Clapham and Wandsworth Common has the highest birth rate in Europe...
家探しのときに"Nappy Valley"と呼ばれていることは知りましたが、実際自分がどっぷりNappy Valley的生活に浸かってみるまで、ここまですごいとは知りませんでした。
この地域にヤングファミリーが多いのは、まず巨大な緑地・公園が多いこと、セントラルにほど近く通勤しやすい割にはロンドン北部や西部ほど物件・家賃が高くないこと、治安がいいことなどが理由。
Nappy Valleyの日常はこんな様子。
1. カフェ・レストラン
特に子どもが小さい頃の子育ては孤独で家に籠りきりになりがちなので、近所のカフェにママ同士で集まるのは家から無理矢理外に出る良い息抜き。 カフェというカフェは同じ月齢の子どもを持つママ(& 数は少ないけどパパ)グループに占領されています。 店内はベビーカーで溢れ、パッと見、半分くらいが授乳中だったりして、子持ちでなければかなり引く光景。
キッズメニューはもちろんのこと離乳食のあるカフェもあり、Babyccino(*1)なるものもあります。
*1・・・お子さま用カプチーノ。 カプチーノの上の泡だけを注ぎココアパウダーを振りかけたもので、子どもがコーヒーを飲むママ・パパと一緒に飲んで大人気分が味わえる。
2. ママ & ベビーグループ
出産前にNCT(National Child Trust)というチャリティー団体主催の両親学級で知り合った人同士で自発的に集まるのに加え(→『Yummy Mummyたちの集い』)、NCTや地元自治体主催の各種サポートグループ(母乳育児サポート・ベビーマッサージ・年齢別のプレイグループetc.)が豊富にあり、積極的に探して参加すれば毎日何かのグループに参加して出かけることが可能。 プレイグループは就学前の子どもが集まって遊ばせるもので、だいたい週に1度、教会や集会所などを借りるボランティアで運営されており参加費はお茶とビスケットをカバーするだけの1回1 - 2ポンド(150 - 300円)が相場。
引っ越してきたばかりの私でもあれやこれやと忙しく出かけられるほど、地域のグループが多いです、今はあまりまだ余裕はありませんが。
Stay-at-home dads(専業主夫)のグループもあるそうです(たしかに、平日昼間にひとりで子どもの世話をしている男性もよく見る)。
3. ウェブ・コミュニティー
子育て中の親は常に新たなチャレンジに直面し情報を求めているもの、ウェブ・コミュニティーもさかんです。
Nappy Valleyのウェブ・コミュニティー→Nappy Valley Net.com
(Nappy Valley専門ではないけど)イギリスの母親のための情報の宝庫→Netmums.com
Nappy Valleyでのセカンドハンド品マーケットプレイス→nappy vally.co.uk
他にも映画館で1歳以下の赤ちゃん連れ専用の時間帯が設けられていたり、ベビー服やベビーカーなどセカンドハンド品が安く手に入るバザーが定期的に開催されていたり、さすが「妊娠してるか子持ちでなければ住むな」と言われるほどの充実ぶりは、(しつこいが)他の人から見れば引くくらい。
イギリスは決して子育て期のファミリーに経済的に優しい国ではありません。 3歳児以下の公的保育はないので私立保育園の保育費は超高額だし(保育園探しの話はまた別途)、14歳以下の子どもを子どもだけにするのは違法なので共働き家庭は学校の送り迎えや親が帰るまでの時間のチャイルドケアを雇う必要があるし・・・子育てに関する福祉はヨーロッパ最低レベル。
Nappy Valleyの日常風景は、政府の補助や福祉に頼らず、地域コミュニティー内で助け合おうとするママ・パパたちの工夫の産物なのだと思います。 もちろん「類が友を呼んでいる」側面も(→『都市内部での(自発的)コミュニティ化』)。
こちらは『Yummy Mummies' Babies』全員の集合写真(左から生まれた順)。 真ん中でひとりメルトダウン中なのが我が子。 この後、お互いの泣き声で触発し合ってシンフォニーを奏でていました(笑)。

-
on
- April 30, 2010 6:41 PM
- 5. 趣味・プライベート | 家庭・育児 Tweet
- Newer: 遠くの親戚より近くの他人
- Older: ヨーロッパ、空の足が麻痺した1週間
