成熟国からの視点

来年早々のロンドン引越しのため(→『ロンドンに引っ越します』)、家探しetc.のためにロンドンに来ています。

「次はロンドンからの視点を楽しみにしています!」というエールをたくさんもらったので、引っ越すにあたって、このブログ的な抱負を。

古今東西、国や文明というのは揺籃期→成長期→成熟期→衰退期といった栄枯盛衰を繰り返してきました。 もちろんこのサイクルを一直線にたどるわけではなく、中国のように栄華を極めた後、しばらく衰退したと思ったらまた復活してきた国があるかと思えば、ポルトガルやアルゼンチンのように果たして復活することがあるのか不透明な国もあります。

残念ながら人間の一生は国の栄枯盛衰のサイクルより短いので、生きている一生の間に国がどの過程にあるかというのは、国民のメンタリティに大きな影響を与える・・・というのは言わずもがな、ですね・・・

私はシンガポールという成長期からそろそろ成熟期に差しかかろうかという若い国(青年国)にいて、「そうそう、若い頃は私もそうだったよ」とまるで老人のような心境になることがありました。
例えば、経済成長のための開発を優先させて歴史的建造物を壊してしまうところとか(→詳しくは『無知な外国人の赤っ恥』)。
実際は、日本の高度経済成長期はリアルタイムで生きていないし、バブルの記憶すらほとんどないのですが、やっぱりこの「成長・成熟期を終えてしまい老いを迎えた人」のような心境って育ってきた環境により体にすり込まれているのかもしれません。

そういう意味で、ロンドンに住んで興味があること、ひとつめ。

産業革命により19世紀に繁栄を謳歌したイギリスが20世紀に入りアメリカに覇権を譲って徐々に衰退していく。 1970年代には「英国病」と呼ばれたが、サッチャー政権時代に改革を断行し、金融ビッグバンで息を吹き返した。 一時期シティ(ロンドン金融街)はウォール街を抜いたと言われるほど活況を呈するが、金融危機で手痛い打撃を受け、いまだ復活の兆しが見えない。

日本にとっては「成熟国の先輩」であるイギリスから見ると世界はどう見えるのか、成熟国として衰退を免れる(遅らせる、ソフトランディングさせるため)にどういう戦略があるのか、という点に興味あり。

ふたつめはEU。

大前研一さんが最近EUに大注目していて本『衝撃! EUパワー 世界最大「超国家」の誕生』も出版されましたが、私も人類史上初めて軍事力ではなく話し合いによって統合・拡大してきたEUには大注目しています。
正直、The Economistの記事の中でもEUの記事はbureaucracyとpoliticsばかりでちっとも面白くないのですが(笑)、初めの構想から足かけ50年以上、地道な一歩の繰り返しでここまで来た(世界最大の経済圏を持ち、限りなく国家に近い権力も持とうとしている)のは、感嘆のひとこと。

大陸ヨーロッパからは一歩引いたイギリスという国からEUも観察したい(というのは、かっこよく後付けした理由で単に英語メディアしか読めないだけ)。

3点目は中東とアフリカ。

アジアにいると最も心理的に遠い文化圏。
昨年、イスラム教徒の数がキリスト教徒の数を上回って世界最大の宗教になり、近い将来アフリカの人口がヨーロッパの人口の2倍になると予測される中、「心理的に遠い」では済まされない日が来る気がします。

どれも私にとっては新しい世界で実に楽しみ。

Comments:3

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Y.S November 27, 2009 10:15 PM

こんばんわ。

欧州各国の経済成長率は日本のように頭打ちだったと思いますが、将来4~5%になる可能性はあると思いますか?

tsubaki November 29, 2009 8:48 PM

こんばんわ。
シンガポールなど若い国にいて老人のような心境になってしまうそのお気持ち、私も中国に住んでいた頃まさに同じようなことを感じておりました。もちろん私もバブルの恩恵を受けた世代ではないですが。腐っても先進国育ちなので素直にあの勢いにコミットできるかというと、意外とそうでもないんだなーと最近感じています。今の先進国の比較的若い世代に共通するそういう老いの心境?のようなものが、イギリスではどんなカタチで表出しているか、気になりますね。ぜひロンドンへ移住された際はそのあたりの考察をアップしていただけることをひそかに期待しております・・。

la dolce vita Author Profile Page December 1, 2009 12:19 AM

>Y.Sさん
>欧州各国の経済成長率は日本のように頭打ちだったと思いますが、将来4~5%になる可能性はあると思いますか?
EU加盟国は27カ国あり、非常に多様なので、それぞれだと思いますが。

>tsubakiさん
>腐っても先進国育ちなので素直にあの勢いにコミットできるかというと、意外とそうでもないんだなーと最近感じています。
わかります。 とにかくイケイケドンドン何でもありな状況で、その勢いについていくってのもなかなか疲れますよね。 でも結局、無邪気に明日を信じることができる人たちがうらやましいんだと思います。

>今の先進国の比較的若い世代に共通するそういう老いの心境?のようなものが、イギリスではどんなカタチで表出しているか、気になりますね。
アメリカに負けず劣らず社会問題は山積みなので、観察対象には事欠かないと思います。 ただ、身の安全を考えるとジャーナリストではないので、現場にはなかなか踏み込めないかなー、という気もしますが。

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