少し前にブログネタ切れと書いたら、CREAさんが非常に興味深いインタビューを送ってくださいました。 今年出版された『国をつくるという仕事』で知った人も多いのでは? 元世界銀行南アジア担当副総裁の西水美恵子さんのインタビュー。
ソフィアバンク:Audio Archives 西水美恵子
西水さんは都立高校時代に奨学金でアメリカへ留学して以来、ずっと日本を外から見てきた、ということでインタビューの内容は本当に深く考えさせられるものでした。
経済学者としてプリンストン大学で教えていたのに畑違いの世界銀行へ転身した過程を語った「(1)貧困と戦う世界銀行との出会い」もお薦めですが、「これは聞いておくべき」と思ったのが「(2)今、日本は、何を改革すべきか」の教育に関する箇所(以下、インタビュー該当箇所のサマリー)。
私は教育格差のない時代に義務教育を受けた。 貧しい家庭の子どもでも勉強すればいい学校に行って良い教育が受けられた。 私の行った都立西高はその時代のトップレベルの先生がいた。
その根本が崩れ始め教育格差がつき始めたのが20年ほど前。
世界銀行で取りたい人が見つからなくなった。 海外で仕事や大学に行っている日本人であれば世界銀行で取りたい人材がいるが、日本から直接では欲しい人が見つからないようになった。
この箇所は非常に重要な問題の指摘なのですが、西水さんは2つの問題を一緒にしていると思います。
ひとつは、義務教育過程(最近は高校に行かない人はほとんどいないので高校も含める)における教育格差の問題(= 親の財力が子が受けられる教育レベルに直結する)。
もうひとつは、高等教育(大学・大学院)の質が他先進国(書いてしまうと、アメリカやイギリス)の質に匹敵できないため、世界銀行のように世界トップレベルの学生を採用する組織が欲しい人材が日本で育たない、という高等教育の問題。
ひとつめの問題は、日本だけではなくアメリカ、イギリス、オーストラリアなどでも起っています。
私自身は小・中→公立、高・大→国立、で育っているので、特に小さな頃は地区の公立学校に通い、世の中にはいろいろな人がいることを学ぶことは大事だと思う気持ちが強いのですが、学校内の風紀・先生の質・進学率もろもろの理由により義務教育過程から私立を選ばざるをえないという親が(少なくとも上記の国では)ここ20年くらいの変化で本当に多い。 残念ながら私は全部国公立でもよかった最後の世代かな、とすら思う。
最近もThe Economistでアメリカ・イギリスにおいてトップ大学に入るためには私立高校に通わせざるをえない状況が記事になっていました(イギリス中で私立高校に行くのは7%だが、オックスフォード・ケンブリッジの入学生の40%は私立高校出身)。
The Economist : Learning lessons from private schools
The Economist : Those who can
スウェーデンなどの高福祉国で教育格差を生じさせないまま良い大学に入れる教育が行き届いているのか知りたいところ。
ふたつめの問題、高等教育機関の質について。
世界の大学トップ20を見るとほぼアメリカ、イギリスの独壇場。
QS World University Rankings 2008 : Top 100 Universities
私は高校時代に「アメリカの大学に行きたい」と言ったら親に「日本の会社に就職できなくなるから日本の大学にしなさい」と言われ、その通りにしたわけですが(そして15年前の時点でそのアドバイスは正しかった)、今もし高校生だったらこれだけ情報が手に入る時代、間違いなく英米の大学を目指していたと思います。 ランキングどうこうではなく、その後広がる可能性が全く違うと思う。
アメリカの初等・中等教育がいまいちでも高等教育が世界最高峰である理由は教授陣・学生ともに世界中から頭脳を集めているからに他ならないわけで、そのことに対する決意・気合い・誇りが(イギリスを除く)他の追従を許していないのではないかと思います。 なお、私はこれが非英語圏の大学・大学院にはできないとは全く思っていません。
『未来の歴史とノマドの時代』というエントリーで、
「住みたいところに、トコトコ出向いていって住む」というのが私の基本スタイルですが、子供ができたときに「子供の学齢期にどういう場所(世界の中でどういう立ち位置)にいてあげると子供のポテンシャルを広げられるのか」もよく考えるので。
と書いたら、ブログ内外で密かな反響を得たので、ちょっと教育について書いてみました。
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- August 26, 2009 11:25 AM
- 4. 教養・知識 | MBA・教育 Tweet
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