ミクロでは余計なお世話な少子化ですが、マクロでは国の存亡を揺るがす社会問題。
先週のThe Economistの特集が高齢化で、非常によくまとまっていたので紹介。
The Economist : Suffer the little children
以前、『シンガポールの少子化対策 - 政府の嘆きが聞こえる・・・』というエントリーで、
日本、南欧 → 女性の社会進出が遅れている → 働く女性の子育て支援環境が未成熟 → 少子化が深刻
アメリカ、北欧 → 女性の社会進出進んでいる → 働く女性の子育て支援環境整っている → 出生率高い
みたいなイメージがあるのですが、
シンガポールや香港のように、女性の社会進出が進んでいる → 働く女性の子育て支援環境整っている → なのに、少子化が深刻
っていうパターンもあるんですな。
いったいなぜなのか?
と書いたまま放置していたので、それに答えることも試みます。
先進国の少子化の進捗状況がよく現れている右のグラフ。 1975-80年あたりを境に、
1. 少子化を食い止めリバウンドした(現在の出生率上位から)アメリカ、フランス、イギリス
2. 少子化が続き出生率1.4以下のイタリア、ドイツ、日本
に分かれているのに気づきます。
そして、この1. 少子化を食い止めた先進国は、政府が取った政策によってさらに2つのグループに分かれます(以下、記事の要約)。
ひとつめがフランスと北欧諸国。 子どもを持つ家庭への資金援助、父親の育児休暇取得奨励、パートタイムの仕事が潤沢にあること(ワークシェアリング)、保育所など充実した公的施設など国を挙げた政策によるもの。 これらの国はGDPの3-4%を子育て支援制度に当てている(この比率は日本、ドイツ、南欧よりはるかに高い)。
ふたつめが米国とイギリス。 両国とも高い女性の就業率を誇るものの、上記フランスや北欧諸国ほどは子育て支援制度が整っていない。 それでも出生率が人口を維持する2.1に近づいている理由は、非常にフレキシブルな労働市場があり、出産後の女性が仕事に復帰しやすく職場でもワーキングマザーをサポートしているため。 また両国は移民も多い。
つまり、国を挙げて子育て支援をするか、労働市場をフレキシブルにし移民を受け入れるか、このどちらかを行わずに少子化を食い止めた先進国は歴史上に存在しないということ。
世界で最も速く少子高齢化が進んだ日本は手厳しく批評されています(拙訳)。
He reckons that the only way Japanese women can manage their difficult lives is by postponing marriage and having fewer, if any, children. Because of the country's culture of long working hours, husbands with good jobs spend little time at home and expect their wives to cope with all domestic tasks. No wonder that 70% of Japanese women stop work when their first child arrives. If they return to it at all it is usually much later, and then mostly to badly paid and unchallenging part-time jobs. By then they may already be caught up in another domestic bind: looking after their husband's old parents.
日本人女性が困難な人生を何とか生き抜く唯一の方法は結婚を先延ばしし、なるべく少ない子どもを持つこと。 長時間労働の文化では、良い仕事につく夫は家でほとんど時間を過ごさず、妻にすべての家事をこなすよう求める。 日本人女性の70%が第一子が生まれると仕事を辞めるのも不思議ではない。 再就職するとしても、ずいぶん後であり、たいてい低給でやりがいのないパートである。 その頃には、もうひとつの家庭の束縛がある:夫の両親の介護である。
ここまで言われちゃうと何だかなー、という感じですが、日本の少子高齢化のパターンは韓国・香港・シンガポールもそのまま後を追っています。
韓国・香港のケースはわかりませんが、シンガポールは以前も書いたようにかなりワーキングマザーに対するサポート体制は整っているので(私の周りのワーキングマザー自身が口々にそう言う)、理由を考えてみました。
- 教育熱心な国であり、子どもの教育費が非常に高いため(友達の3歳の娘さんは3つ塾に行っている)、経済的な理由であきらめる人が多い。
- 欧米に比べ急速に女性の社会進出が進んだので、そのスピードに対応するため、女性に「子どもを生んだらキャリアから取り残される」という強迫観念が強い。
- 結婚の需要・供給にミスマッチがあり、結婚する人そのものが減っている(男性の「下方婚志向」、女性の「上方婚志向」はシンガポールでもよく聞くが、周りにマッチするサンプルがいないのでよくわかりません。 私の周りは以前も『女性における学歴と結婚の相関関係』で書いたように「同レベル婚」しかいないので。)
どうでしょう?
このThe Economistの特集は各国の年金制度の崩壊(→Scrimp and save)、それに伴いこれからは今までと同じ定年でリタイヤできなくなること(→Work till you drop)、世界は総高齢化という前例のない時代に突入していること(→Into the unknown)など、「ああ、世界のどこに行こうと、これまでと一緒じゃないのね」と改めて警告を与えてくれるものでした。
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on
- July 4, 2009 6:44 PM
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