不況で従業員のロイヤリティを高めた会社

世界中で雇用情勢は厳しさを増すばかりですが(って、こんな部外者みたいな口ぶりの私ももろに影響を受けているんだが)、暗い話は聞き飽きたと思うので、こんな会社もあるよ、ってお話。

ある業界に特化した戦略コンサルファームの話で全世界に200人くらい従業員がいます。
コンサルファームや弁護士事務所、会計事務所はプロフェッショナルファームと呼び、パートナーシップという会社形態を取ることが多く、給料をもらう従業員と利益を分けるパートナー(共同経営者)からなり、この会社も例外ではありません。

このファームがすごいのは、売上など経営に関わる情報が広く社員に共有されていること。
イントラネットで全世界のオフィスのセールス状況、プロジェクトの金額、各レベルのコンサルタントのチャージャビリティ(*1)の目標と実績値がほぼリアルタイムで公開されており、毎週サマリーがE-mailで送られてくるので、全員が会社の売上推移を把握しています。
*1・・・コンサルファームはプロジェクトで働いた時間あたり報酬をクライアントに請求するため、勤務時間のうちどれだけクライアントに請求(チャージ)できたかを示すチャージャビリティが重要な指標。

全社の売上なんて、上場企業の社員であれば業績発表時に初めて知り、未上場企業の社員であれば正確なところは知らなかったりするのが普通だと思うので、この透明度の高さは驚き。

この普段からの情報開示に加え、今回の世界的大不況で同業他社でリストラを始めたところが出てきたため、従業員の動揺を防ぐため、経営が悪化したときに会社が取る対策(レベル1〜5)が社内的に発表されました。

1. 全員のボーナス(賞与)を一時的にカット
2. パートナー(共同経営者)の給与を一時的にカット
3. プロジェクト以外の経費削減(プロジェクト外の出張・転勤経費など)
4. 従業員の自発的なサバティカル(休業)実施
5. 従業員の給与を一時的にカット
6. 人員削減

あらかじめ決められた経営指標が悪化するとこの対策が段階的に発動するのですが、注目すべきはまだレベル1に達していないのに、この内容が発表されたということ。 そして、パートナーの給与が先にカットされるということ。

前回のITバブル崩壊時の危機もこれで乗り切ったそうです。

出張中にクビになりオフィスの自分の席に戻ることも許されなかった(情報流出を防ぐため)、とか、海外駐在中にクビになり帰りの航空券代も出なかった、とか、ひどい話ばかり聞く中、この会社は何と不況の真っ最中にも関わらず従業員の士気があがったそう。

「外資はドライ」というありがちなステレオタイプではなく、それぞれなんだなー、と心温まるお話でした。

Comments:4

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inoue yukiko March 24, 2009 3:52 PM

凄い。。。
そんな会社があったのですね。
不透明さが、やがて不純物の塊となり
流れをせき止めているのであれば、こういうクリアな世界は、沿岸で何があっても
澱む事なく さらさらと流れていそうです。

Sat March 24, 2009 10:24 PM

オープンブックマネジメントは運営こそ面倒くさく大変ではありますが、社員の意識も高められ、将来経営を担いたいと思っている者にとってはよいトレーニングにもなりますし素晴らしいと思います。

指標数値の変化と経営陣の意思決定との繋がりが個々人が自覚できるため、
納得感、ロイヤリティが高まりやすく、
会社が苦しい時ほど社員個々人が燃えてくるというのがなにより素晴らしいですよね。。

Maria March 25, 2009 8:36 AM

外資系って不況となるとすぐにリストラで、何故給与カットは検討されないのか不思議でした。
明日は我が身かも・・・と怯えながら過ごすのでは仕事にも集中出来ないのではと。

こんな会社もあるのだなと、驚きです。

la dolce vita Author Profile Page March 25, 2009 9:05 AM

>inoue yukikoさん
>こういうクリアな世界は、沿岸で何があっても澱む事なく さらさらと流れていそうです。
そうですね、この会社は社員のターンオーバーの激しい戦略コンサルファームの中では珍しく、定着率が高いそうです。

>Satさん
>オープンブックマネジメントは運営こそ面倒くさく大変ではありますが
オープンブックマネジメントと呼ぶんですね。 コンサルファームは収益構造がシンプルだから実施しやすいのだとは思いますが。

>将来経営を担いたいと思っている者にとってはよいトレーニングにもなりますし
たしかに、その点は気づきませんでした。 経営陣だけでなく全社員に共有されているところが素晴らしいと思います。

>Mariaさん
>外資系って不況となるとすぐにリストラで、何故給与カットは検討されないのか不思議でした。
「外資系」と一括りにできるのではなく、本当に経営者の思想次第だな、と思いました。
こういう有事には、如実に経営思想が現れますね。

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