次の破壊的イノベーションは何だ?

あまりにも長い間、私の「読みたい本リスト」にあった『イノベーションのジレンマ』をようやく読みました(原書『Innovator's Dilemma』で)。

うーん、我ながら遅いなー・・・ 原書が出たのは2000年ですからね。 技術革新に関する名著中の名著。 その内容はまだ色あせていないとはいえ、例の多くは1999年までの例なのでもっと早く読むべきでした。 まだまだ良書を選ぶ嗅覚が鈍いです。

・・・という訳で、製造業のみならずあらゆる財・サービス業に従事する人は絶対読むべき1冊ですが、エッセンスは下の図に表せます。
innovator's_dilemma.jpg
技術革新によりある市場が生まれます(図中、上の黒線)。
市場を掴むことに成功した企業は持続的イノベーションによりどんどん技術革新を行います。 既存市場を相手に付加価値マージンを維持しようと思うとハイエンド市場に移行せざるをえなくなります(上の黒線が斜め右上方向に推移)。
ところが、企業の技術革新のスピードは市場が求めるスペックの伸び(図中、2本の破線の間が市場)よりも速いのです。 ハイエンド市場に特化していく有力企業の製品はローエンド市場にとってはオーバースペックになります。
そこに破壊的イノベーションによってローエンド市場の需要を満たす企業が現れます(下の黒線)。 その多くは新興企業。
ハイエンド市場に特化している企業にとってローエンド市場はマージンが低いので当初はその破壊的イノベーションを軽視します。
ところが、その破壊的イノベーションも持続的イノベーションによって急速に市場を獲得していきます(下の黒線が斜め右上方向に推移)。 気がつくとハイエンド市場も満足するスペックになり、破壊的イノベーションが持続的イノベーションを駆逐します。

そして、また歴史は繰り返す、というお話。

本の中ではハードディスク・ドライブや掘削機といった例を使って上記現象が丁寧に解説されていますが、破壊的イノベーションが持続的イノベーションを駆逐した例はいろいろな業界でいくつもいくつも思いつきます(ブルー・オーシャンとも言うのかもしれない)。

そこで、次の破壊的イノベーションになりそうなものは何か考えてみました。 なお、『ガラパゴス化する日本』にも書きましたが、消費者としての私は「アーリー・マジョリティー」だと思います(たまに製品によって「アーリー・アダプター」になるときもあります)。
参考:イノベーター理論

1. ネットコンピューター ネット・ブック(1/31 訂正)
どれくらいの人がお使いでしょうかね? ネット・コンピューター ネット・ブック。
100 - 500ドルくらいでインターネットにつながることを主目的とし機能は最小限、Microsoft OSももちろんなしOSはLinuxもしくはMicrosoftのネットブック向け低価格OS(5/18訂正)、WordやExcelなどのアプリはすべてオンラインで使用(Googleドキュメントとか)、メールもwebメール(Gmailとか)。 容量もないので、外部記憶装置かオンラインサーバーを使います。

以前、友達が空き巣に入られたことがあり、その時に自分の家にあるもので一番高額なものを考えたことがあったのですが、ノートパソコンでした(VAIOでいろいろ付属機能つけたので24万円くらいだったような)。 高級イタリア製家具も液晶テレビもうちにはないので、ノートパソコンが最も高額。 今部屋の中を見渡しても同じ。

今は途上国の貧困層向けのイメージが強いようですが、そのうち先進国のユーザーを満足させるものが現れると思います。 早く安くなってほしい、パソコン。

2. IP電話
最近シンガポール内でもSkypeで電話してくる友達が多いです(仕事中は両方ともオンラインで便利なので)、海外に住む友達とはもちろんMessengerかSkype。 昨日お会いした日本人の企業経営者の方も日本オフィスとの社内電話会議はSkypeとおっしゃっていました。
品質が向上し、ユーザーインターフェースが改善すれば既存の電話を置き換えるのはすぐだと思います。

他にもありますか? どうでしょう?

Comments:4

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bigakira January 10, 2009 12:07 AM

これは確かに一つの物の考え方を鮮烈に示した名著やと思う。
事例としては機械式→クォーツ、walkman→ipod、VHS→DVD、ブラウン管→液晶、プラズマ、・・・・・
上記の事例もそうですが、実際このモデルに当てはまる技術革新は一部で、いろんなパターンが有るのも事実です。

ただ、ネットコンピュータ(ネットブック?)は本当に破壊的イノベーションなのかは個人的にはまだよくわからない。
新しいセグメントを切り開いただけなんじゃないかとも思ったりもします。

日本語版は有りませんがMastering the Dynamics of Innovationもお薦めです。

しん January 10, 2009 12:30 AM

> 他にもありますか? どうでしょう?

ビデオ → DVD → HDD → Blueray  (持続的イノベーション)

p2p(limewireなど) → youtubeやニコ動 → pandra tv

や、
CD屋 → レンタルショップ (持続的イノベーション)

iTuneストア (破壊的イノベーション)

IT業界、金融業界や他の業界でもいろいろあるかと。
候補を挙げていくと、これからどんな破壊的イノベーションが出てくるのか楽しみですね!

la dolce vita Author Profile Page January 10, 2009 2:52 PM

>bigakiraさん
>ただ、ネットコンピュータ(ネットブック?)は本当に破壊的イノベーションなのかは個人的にはまだよくわからない。
日本語ではネットブックって言うのか・・・ Network computerを自分で訳してしまった。
個人的には夫婦でMacBookとVAIOを共有していて、Macの方が適していることをするときはMacを使い、Windowsの方が適していることをするときにはVAIOを使うようになってから、いろいろGoogleドキュメント上に物を置くようになった。
あと、シンガポールは全土にWirelessのインターネット(無料、スピードちょっと遅いけど)が普及しているので、どこへ行っても(公園とかでも)ネットにつないで仕事ができるので、外で仕事をしている人もよく見る。
そんなのを見ながらネットにつながれば何でもできる日がくるのも遠くないかなー、と思っています。

>日本語版は有りませんがMastering the Dynamics of Innovationもお薦めです。
お薦めありがとう、早速「読みたい本リスト」に加えました。

>しんさん
ありがとうございます、iTunesは有名ですねー
サービス業でもいろいろありそう。

まつーら June 23, 2009 9:52 AM

> 『イノベーションのジレンマ』
僕も2005年ぐらいから読みたいリストに入ってて買ったまでは良かったものの、4分の1ぐらいで止まってしまってます。。。早く続きを読まないと。。。


でもって僕が今最も注目している「破壊的イノベーション」は車産業ですかね。
『ガソリン車⇒ハイブリッド車』まではまだ良いとして、完全な『電気自動車』まで移行してしまうと、自動車産業全体のバランスが全て崩れてしまいそう。車の心臓部分であるエンジンがモーターに替わる訳で、それこそパナソニックとかが車を出す時代がやってくるのかなぁと思ったりしてます。
でもってエンジンはコピーできなくてもモーターなら簡単にコピーできちゃいそうなので、パソコン業界のように中国産などの安い車が市場にワンサカ出てくるんじゃないかなー。

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