『ハーバード留学記』の著者でライフネット生命保険副社長の岩瀬さんのブログ、及びThe Economostの書評を読んで以来、ずっと読みたかった『Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School』
を読み終わりました(2つの書評 ↓)。
生命保険 立ち上げ日誌:本当の『ハーバード留学記』(ついに発売!)
The Economist:Factory for unhappy people
著者は元Daily Telegraph(英)のジャーナリストでHBS(に限らずビジネススクール)には珍しく「いわゆるビジネス」の経験を持たないため、(ある意味)正常な精神とイギリス人らしい皮肉、的確な筆力で、25歳そこらの若者が「世界中のすべての問題をキミたちが解決できる、世界を変えるのはキミたちだ」と吹き込まれ、米国資本主義の担い手として巣立っていく様子と、HBS-wayに戸惑いその意味を問う自分の姿を描いています。
私も「メーカー→INSEAD MBA→総合商社」、というMBA前も後もコンサルでも投資銀行でもなくMBAでは「マイナー」なキャリアなため、著者がHBSで直面した戸惑い、疑問、感動、心境の変化が、まるで4-5年前のINSEADにいた頃の私を見ているようで読みながら随分入り込んでしまいました。
かなりランダムですが、読後の感想です。
1. ビジネス原理主義
(著者が変えたいと主張する)HBSのミッションステイトメントは
We educate leaders who make a difference in the world(我々は世界に違いをもたらすリーダーを養成する)
"Harvard Business School - Mission"より
ビジネス原理主義とも言うべきか(?)、「何でもビジネスの手腕を持ち込むことで解決できる」「我々が将来を背負う」とする自己の過信はHBSだけではなくMBAプログラム(及びホルダー)に程度の差こそあれ共通するかもしれません。 「自分たちが世界の中心ではない」ことを常日頃思い出させるメカニズムが必要ですね(辛辣に指摘してくれる友達とか家族とか)。
気になったのでINSEADのミッションステイトメントも調べてみると、
As an educational institution, our mission is to promote a non-dogmatic learning environment that brings together people, cultures and ideas from around the world, changing lives, and helping transform organisations through management education.
(教育機関として、世界中から人・文化・アイデアを結びつける非独善的な環境を推進し、人生を変え、経営教育を通して組織の革新を手助けする)
Through teaching, we develop responsible, thoughtful leaders and entrepreneurs who create value for their organisations and their communities.
(指導を通して、組織やコミュニティーに価値を創造する、信頼でき思慮深いリーダーや起業家を養成する)
"INSEAD - Our Mission and Values"より
HBSに比べると随分控えめというか地味と言うか・・・
2. 卒業後のキャリア
MBA中の「いかに良い条件の職を確保するかでMBAの価値が決まる」というすさまじいプレッシャーは本当。 このプレッシャー下、キャンパスにリクルーティング(採用活動)に来る企業(ほとんどがコンサルと投資銀行)の面接を「本当にやりたいことなのか」を吟味しないまま受け、オファーをもらったところに大量の学生が自動的に吸い込まれていき2年後に堰を切ったように辞めるのも、全く同じシナリオを多くの同級生に見てきました。
コンサルへ進む理由:「何がやりたいかわからないから仕事をやりながら(いろいろな業界を見ながら)就職活動(進む業界の決断の先延ばし)ができる」
投資銀行へ進む理由:「報酬の魅力には逆らえない。 10年プライベートを犠牲にして働いて40歳前にリタイアする」
なのも本と全く同じです(もちろん極論化されてますけどね)。
3. ワークライフバランス
本の中で一番印象深いのが、HBSに来る数多くのスピーカー(ビジネス界で成功を納めた卒業生)すべてが「自分は悪い夫だった」「子どもはシーツの形(寝ている姿)しか見たことがない」「4回離婚した」とプライベートで払った犠牲を語っていること(今日のタイトルのFactory for unhappy peopleはこの本の最終章のタイトルです)。
INSEADはヨーロッパ人が多いため、ここまで極端な仕事優先思考の人は多くなかったのですが、私のMcKinseyやBain、Deutsche Bankで働く友人が非人間的な長時間労働のため「出会う時間がない」「ガールフレンドが(僕の)出張の多い生活を嫌ってるけど、もう1ランク出世するまでこの生活は変えられない。 生活を変えられないのでプロポーズもできない。」というのを聞くたびに、人生のプライオリティーは何なのか考えざるをえません。
ネガティブな点ばかり焦点を当ててしまいましたが、HBSの素晴らしい点も丁寧なディテール描写力で描かれています。 MBAに少しでも関係のある人(受験者、MBAホルダー、MBAを雇う立場の人)はもちろん、MBAとは何ぞや?という人にもお薦めします(まだ翻訳版は出ていないようです)。
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on
- October 2, 2008 5:08 PM
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