Asia-Pacific (ex-Japan)

最近、Googleロンドンでエマージング・マーケット事業戦略をやっている友人(トルコ人)、Merrill Lynchシンガポールのプライベート・バンキング戦略をやっている友人(スイス人)と別々に話していて、全く同じ話になりました。

GoogleやMerrill Lynchのような欧米多国籍企業(multinational company)の多くは、地域本社制を取り、地域本社に大幅な権限委譲をして運営しています。 私の上記友人2人は地域本社(それぞれロンドンとシンガポール)で戦略担当マネジャーをしているので他地域本社とのコレポンは日々の業務の一環です。

ところが、Google、Merrill Lynch(プライベート・バンキング部門)ともに、北米・中南米(Americas)、欧州・中東・アフリカ(EMEA)、アジア大洋州(A-P)に加えて日本 (Japan)だけは別本社なのです(Merril Lynchは三菱東京UFJとプライベート・バンキングを行うJV設立)。

数々のグローバル企業が日本進出を試みて失敗しているので(Carrefour、SEPHORA、BOOTS、etc.枚挙に暇がない)、数多くのレッスンから学んだ上でAsia-Pacific (ex-Japan) とJapanの本社を分けたのだと思いますが、これが日本人にとって長期的に見るとよくない傾向だなー、と思います。

ちなみに、Asia-Pacific (ex-Japan)はどう見ても欧米文化であるオーストラリアとニュージーランドも含みます。 日本以外のアジアはオーストラリア・NZと一緒にできるほど欧米式の企業文化が通じるけど、日本は無理!ってことです。

日本市場の特異性を極端に強め、外資参入を(実質的に)許さない業界になった(なってしまった)、携帯電話業界、リテール金融(個人向け銀行)業界などは、既存の日系企業が国内での一時的な繁栄を享受した引き換えに、海外では全く勝負できない体質になってしまいました。
海外での現地雇用は『最近、本気で憂えること』で書いたように、これまた日本式雇用を引きずっている状況で、採用競争力がなくなっています。

少子化により縮小する国内市場、競争力を失った海外市場のダブルパンチで日本企業の地盤が相対低下していくと、日本人個人にとっては、多国籍企業に職を求める機会が多くなります。 ところが、日本がまだGDP世界第二位を保っているうちは、かろうじてJapan本社を設けて「日本企業文化」に寄ってきてくれますが、そのうち日本市場がそれほど戦略的に重要な存在でなくなったとき、Asia-Pacific本社はAsia-Pacific (incl. Japan)となって日本本社は吸収され、個人としても「日本語・日本の企業文化わかります」は強みでなくなり、優秀でかつすでにグローバル・スタンダードに慣れ親しんでいる他アジア人と同等以上の働きを求められるのです。
そのとき、同等以上の働きができます!という人がどのくらいいるでしょうか?

海外にいるとこういうことを真剣に考えるようになります。
今の日本を「日本はもう住みやすくなりすぎて、日本だけで閉じた生活でいいと思うようになってしまった」状態、『パラダイス鎖国』と呼ぶそうです(うーん、いいネーミングだ)。 まだ読んでいないので、「読みたい本リスト」に加えました。

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